現代人に多い過敏性腸症候群とは?

便秘や下痢といった排便のトラブルを現代人は抱えがちですが、その頻度が持続的ある場合には過敏性腸症候群かもしれません。

過敏性腸症候群とは、大腸の炎症や腫瘍など、明らかな下痢や便秘の原因となりうる腸の客観的異常がないにもかかわらず、持続的・断続的に排便異常が続くもののことをいいます。症状が下痢が主体なのか、便秘なのか、それともそれらが交互にあるのかで「下痢型」「便秘型」「交代型」に分けられます。

特に10~30代の若い男性に多く見られる下痢型過敏性腸症候群の症状は、仕事やテストなどのストレスがかかる状況下で反復して下痢が起こってしまうというもので近年多く見られます。平日はひどい下痢なのに、週末になるとお腹が落ち着くというような具合です。

こうした下痢や便秘を引き起こすのは、大腸の運動異常のためです。大腸の役割は食物中の水分を吸収すること。つまり、大腸の中に食べ物が長時間いれば便秘、早々と通過してしまえば下痢、という事になります。食べ物は大腸が蠕動運動という動きでもって口側から肛門側に送り出してゆくのですが、この動きが異常であると排便異常が起こります。

では大腸の動きはどうやって決まるのでしょう?手足のように頭で考えてもその通りには動きません。大腸など消化管は自律神経(特に副交感神経が消化管運動に大きく関わっています)によって支配されています。自律神経はその名のごとく「自律」していますので、いわばオートマチックなわけです。この自律神経がストレスなどの外的影響を受けて、大腸のオートマチック運転が壊れることが過敏性腸症候群といえます。

重要なのは本当にそれは過敏性腸症候群なのか?ということ

過敏性腸症候群というのは、排便異常の原因を調べてゆく中で、炎症や腫瘍を除外して得られる診断です。いきなり「それは過敏性腸症候群だね」と決めつけるのは危険です。若年者に多い過敏性腸症候群の下痢症状は、同じく若年者に多い潰瘍性大腸炎などとも症状が一部類似しているのです。また便秘型の場合、大腸がんによる便秘症との鑑別なども必要な場合があります。安易に過敏性腸症候群と決めつけるのは、大いなる誤診になる可能性があるのです。

ただ実際の診療現場ではすべての患者さんに対して大腸内視鏡検査などの高負担の検査を行うことはありません。やはり丁寧な問診(ヒアリング)からどういったタイミングから症状が出てきたのか、あるいはどういう時に症状が出ないのかなど十分な情報収集の上で、どうしても炎症や腫瘍などの可能性が捨てきれない場合に便検査や内視鏡検査などを追加で行っていくことになります。

実際の治療法

幸い現在は優秀な薬剤がありますので、たいていは1~2種類の薬を飲んでいただくだけで改善します。ほとんどの方は数か月服薬すれば、その後薬を減らしたり中止しても大丈夫なようになります。症状が深刻な方の場合や精神的な側面が強い方の場合は心療内科的な治療も必要なこともあります。

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