執筆:医学博士 小林真一郎(こば消化器・乳腺クリニック院長)

乳腺炎とは

乳腺炎とは、授乳中の女性に多くみられる乳腺の感染症です。授乳時に傷ついた乳頭表皮などから細菌が乳腺内に侵入し感染を起こすことが原因で、強い炎症症状が現れます。授乳中でなくとも、何らかの形で乳腺内に細菌感染が起これば乳腺炎は成立します。

症状としては乳腺の強い痛み、乳房の熱感、乳房の発赤などです。ひどくなってくると全身の高熱を認め、乳頭から膿が出て来ることもあります。乳腺のしこりとして自覚されることもあり、乳がんと鑑別が必要な場合もあります。特に炎症性乳がんでは乳房表面の発赤や熱感を伴うこともあり、通常乳腺炎との違いが非常に分かりにくいこともあります。

治療としては抗生物質の使用になります。早急に治療するため点滴での使用がよいでしょう。しかし乳腺炎が進んで、乳房内に膿が溜まってくるような状態(乳腺膿瘍)となると、薬のみで治療するのは難しくなり、膿の量が多い場合は膿だまりの部分を切開して膿を出す処置が必要です。膿瘍腔(膿の溜まっていたスペース)が大きな場合は、持続的に膿が出続けるため、ドレーンという管を入れて持続的に膿を体外に出し続ける必要があります。こうなると治癒までそれなりに時間がかかります。

乳腺炎は早期に治療を開始することが非常に重要です。

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