裂肛(切れ痔)

裂肛とは切れ痔ともいわれ、肛門が物理的に切れて(裂けて)傷ついてしまった状態をいいます。硬い便が出る時に肛門よりも便が太く、肛門が裂けてしまう状態です。痔の中では痔核にならんで多い病気といわれています。お尻が冷えてこわばっていたり、肛門括約筋が十分に弛緩しない場合にも裂肛になります。トイレでゴシゴシ拭きすぎても肛門上皮(皮膚)が硬くなり柔軟性が減少するため裂けやすくなります。

裂肛のキズは肛門の皺に沿ってできるため、図のように縦方向のキズができます。初期の裂肛では浅い裂傷のみが認められますが、何度も何度も繰り返し切れていくうちに慢性裂肛となります。慢性裂肛ではキズの両端に肛門ポリープ見張りイボといった瘢痕組織が形成されるようになります。さらに長期間の慢性裂肛の場合、裂肛の傷跡(瘢痕)の硬い部分が肛門を狭くするため、肛門輪が狭くなる肛門狭窄(肛門が排便時に十分開かなくなる)になります。こうなってしまうと日々の排便もままならなくなります。

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切れ痔の原因

裂肛とは便と肛門表皮との力学で生まれる「傷」ですが、便秘による硬い便が最も大きな要因として挙げられます。しょっちゅう便の硬くなる慢性便秘症の方には裂肛が見られることがしばしばあります。その他の原因としては肛門部皮膚の性状の問題(硬い、薄い、傷がある)であったり、肛門括約筋が十分に緩まない、といったケースがあります。

切れ痔の症状

裂肛の症状の特徴は何と言っても、痛みです。感覚の鋭敏な歯状線より外側の肛門上皮に傷ができるため、特に排便時には強い痛みを感じます。またキズからの出血を見ることも少なくありません。

裂肛(切れ痔)の好発部位

便秘がひどい場合などでは慢性化しやすく、何度も同じ箇所(6時、12時が特に切れやすい)が切れたり治ったりを繰り返します。

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裂肛のダメージが持続するとその部分は硬くなり柔軟性を失ってゆくため、徐々に肛門が狭くなって便が細くなるという症状もあらわれます。慢性化すると裂肛の傷の内側には肛門ポリープ、外側には見張りイボという膨らみができてきます。(上図参照)

この過程でキズの周辺が硬く線維化して肛門狭窄となります。本来肛門は伸縮性がありますが、傷つき硬くなることで伸縮性が失われ、ますます切れやすくなる悪循環に陥るわけです。

切れ痔の治療法

裂肛が一時的な場合は比較的容易に治癒しますが、もっとも重要なことは排便をうまくコントロールするという事で、まず便秘の改善です。少なくとも硬い便が絶対に出ないようにコントロールすることが重要です。そうしたうえで裂傷を軟膏などで治療します。ただし、あまりにも再発を繰り返す慢性裂肛や、肛門狭窄を起こしてしまったものに対しては手術療法も選択されます。

さほど極端に狭くない場合は肛門拡張(ブジー)という方法(徐々に広げていく方法)で時間をかけて治療します。明らかに狭すぎる場合は、手術で狭窄を解除する方法が勧められます。側方内肛門括約筋切開術(LSIS)皮膚弁移動術(SSG)などがあります。これら手術療法においても術後の排便コントロールが経過の成否の鍵となります。

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肛門狭窄とは?

肛門狭窄とは肛門が異常に狭い状態のことで、主に慢性裂肛や痔の術後に見られます。一番多い原因は慢性裂肛で、何度も繰り返すダメージのために裂肛の周りが徐々に硬くなってしまい、肛門の伸縮性が失われて狭くなってしまいます。痔の術後の場合でも、創傷治癒の過程で切れ癖がついてしまうと慢性裂肛と同じようになってしまうので注意が必要です。(昔のホワイトヘッド手術という痔の手術法では手術そのもので肛門を狭くしてしまっていました。)

肛門狭窄の原因

慢性裂肛が最も多い原因です。他にも肛門手術の術後合併症、痔瘻の経過によっても肛門狭窄になり得ます。

肛門狭窄の症状

肛門が物理的に細くなるため、便が細く出にくくなります。無理に出そうとすると出血を伴います。通常の肛門は人差し指は余裕で入りますが、指が入らないほどに細くなってしまった状態です。

肛門狭窄の治療

狭窄の程度によって判断されます。少し狭い程度で何とか柱状の便が出せるようなら、まずは肛門拡張(ブジー)といって徐々に肛門を拡げることを試みます。これは硬く狭くなった肛門を少しずつ専用の器具で拡張してゆく、いわば肛門のリハビリですので多少の疼痛が伴います。

狭窄が高度であれば手術になります。側方内肛門括約筋切開術(LSIS)や皮膚弁移動術(SSG)などがあり、裂肛の手術に準じます。

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